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2016..8月更新

Q1 ~坐薬が溶けてしまいました。もう一度使ってもいいですか? ~
質問

坐薬が溶けてしまいました。もう一度使ってもいいですか?

回答

再固化したものは、均一性が保証されないため、使用を避けた方がいいでしょう。

解説

油脂性基剤は結晶多形転移により、生物学的利用能の低下や効果発現までの時間延長が起こる可能性があります。速やかな効果発現が望まれる抗けいれん薬や解熱鎮痛薬などは、再固化した坐剤はなるべく使用しない方が良いでしょう。
また、融解前の坐剤中の主薬分布は均一であることが知られていますが、再固化後の主薬分布については知られていません。基剤の比重によって主薬分布が偏る可能性が否定できないため、再固化後の坐剤を分割して使用することは避けるべきです。


 

(それでも再固化したい場合)

油脂性基剤を使用した坐剤の融点は35度前後となるように製造されているため、コンテナのまま、約4050度の微温湯に入れて完全に融解した後、坐剤の先端を下向きにして室温で放置し、固化後に冷蔵庫で保管をする。

まず4050度の微温湯に入れて完全に融解させるが、坐剤を熱湯に入れて融解させると坐剤コンテナ内の空気が急激に膨張し、破裂する可能性があるために避ける。

融解した坐剤を再固化させるために、急に冷蔵庫に入れることも避ける。

坐剤冷却時はコンテナの先端を下向きにして保管する。冷却時の保管方向による再固化後の形状の違いについて、先端を下向きにした場合は融解前の坐剤と同様の形状が得られる

なお、先端を上向きにした場合は挿入部位が失われ、直腸粘膜を傷つける危険性がある。横向きにした場合は、坐剤中央部分がくぼみ、強度が低下するため、挿入時に崩壊する危険性がある。


参考文献 南山堂「薬局」2014 No9坐剤の保管方法と管理・廃棄(宇夛裕基、河原正美)