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                                                 2016..8月更新

溶連菌感染症

溶連菌は、正確には「A群β-溶血性連鎖球菌」といいます。以前は「猩紅熱」と呼ばれていました。

Q1. 主な症状にはどんなものがありますか?
 
  ①喉の痛み : 喉が真っ赤に腫れあがることが多いのが特徴です
  ②発熱 : 発熱することが多い感染症ですが、抗生物質の服用で1~2日で解熱することがほとんどです
  ③イチゴ舌 : 舌にイチゴのようなブツブツが生じることがあります
  ④発疹 : 顔~全身にボツボツとした痒みを伴う赤い発疹が見られることがあります
  ⑤皮膚落屑 : 上記の症状が消失した後に手や足の指先から皮膚が剥けることがありますが、自然に治ります
  ⑥口臭 : 専門医によると、感染している方は独特の口臭がするとの見解があります

Q2. 合併症にはどんなものがありますか?
 
  
①発生しやすい主な合併症
    中耳炎
    気管支炎
    副鼻腔炎
    リンパ節炎

  ②菌を完全に退治出来ていなかった場合など、感染後にまれに発症することがある合併症
    急性糸球体腎炎
    リウマチ熱
    血管性紫斑病


Q3. 感染する回数は一回だけですか?
 
 
A群β-溶血性連鎖球菌にはいろいろなタイプがあり、日本には4~5種類が存在するといわれていますので、4~5回は感染する可能性があります。
 また、処方された抗生物質が無効な場合や抗生物質の服用を途中中止してしまった場合などには、同じ原因菌による症状が再燃することがあります。


Q4. 治療方法は?
 
以下の抗生物質が使用されます。
 
①ペニシリン系
 溶連菌に対して最も多く使用される抗生物質です。その理由は、耐性菌が存在しないとされているからです。
 10日間~14日間の処方が一般的です。ペニシリン系にもいくつかの種類がありますが、子どもの場合にはアモキシ
 シリン(ワイドシリン
®細粒など)の使用が多くなっています。

②セフェム系
 セフェム系抗生物質を5日間服用すると、ペニシリン系抗生物質の10日間服用と同程度の効果が得られることがわか
 ってきました。現場では、セフジトレン(メイアクト
®など)の処方が多く見受けられます。ただし、溶連菌感染症
 が引き金となって起こる続発性の合併症を予防する効果については、今のところ明確なエビデンスが得られていませ
 ん。

③マクロライド系
 ペニシリン系やセフェム系抗生物質を使用出来ない人に対しては、マクロライド系抗生物質が使用されることがあり
 ます。副作用が少ない印象のマクロライド系ですが、溶連菌に対しては効果が弱い印象があり、耐性菌の存在も問題
 視されています。

④再燃の場合
 ペニシリン系やセフェム系抗生物質を服用しても症状が再燃した場合には、切り札的薬剤としてクラバモックス®
 10日間ほど使用する場合があります。


Q5. 感染後の外出はいつから可能ですか?
 
 
抗生物質を服用開始してから1日経過すればほぼ除菌されますので、服用開始の翌日までお休みすればよいことになりま
 す。しかし、発熱が続いていたり元気がない場合は、症状が落ち着くまで安静を保つことが必要です。
 また、抗生物質をしっかり服用しているにもかかわらず2~3日熱が続く場合は、処方された抗生物質が効きにくいタイ
 プの菌なのかもしれません。その場合は、早めの再診が必要になってきます。