「熱性けいれん診療ガイドライン2015」より抜粋 2016.8月更新
表1 熱性痙攣に関連する薬剤の主な治療指針
発熱時のジアゼパム坐薬 |
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熱性痙攣の既往がある小児において発熱時のジアゼパム投与は必要か。適応基準は何か |
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1. 熱性痙攣の再発予防の有効性は高い。しかし、副反応も存在し、ルーチンに使用する必要はない。 |
根拠不明確 |
2. 以下の適応基準1)または2)を満たす場合に使用する 1)遷延性発作(持続時間が15分以上) 2) 次のⅰ)~ⅵ)のうち2つ以上を満たした熱性痙攣が2回以上反復した場合 ⅰ)焦点性発作(部分発作)または24時間以内の反復 ⅱ)熱性痙攣出現前より存在する神経学的異常、発達遅滞 ⅲ)熱性痙攣またはてんかんの家族歴 ⅳ)生後12か月未満 ⅴ)発熱後1時間未満での発作 ⅵ)38℃未満での発作 |
推奨 |
発熱時のジアゼパムの投与量、投与方法、投与対象期間および使用上の注意事項は何か |
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1. 37.5℃を目安として、1回0.4~0.5mg/kg(最大10mg)を挿肛し、発熱が持続していれば8時間後に同量を追加 |
推奨 |
2. 鎮静・ふらつきなどの副反応の出現に留意し、これらの既往がある場合には少量投与にするなどの配慮を行いつつ注意深い観察が必要である。使用による鎮静のため、脳炎・脳症の鑑別が困難になる場合があることにも留意 |
推奨 |
3. 最終発作から1~2年、もしくは4~5歳までの投与が良いと考えられるが明確なエビデンスはない |
根拠不明確 |
解熱薬 |
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解熱薬は熱性痙攣の再発に影響するか |
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1. 発熱時の解熱薬使用が熱性痙攣の再発を予防できるとするエビデンスはなく、再発予防のための使用は推奨されない |
根拠不明確 |
2. 解熱薬使用後の熱の再上昇による熱性痙攣再発のエビデンスはない |
根拠不明確 |
注意すべき薬剤(鎮静性抗ヒスタミン薬、テオフィリンなどのキサンチン製剤) |
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熱性痙攣の既往がある小児で注意すべき薬剤師何か 1. 発熱性疾患に罹患中に鎮静性抗ヒスタミンを使用してもよいか 2. テオフィリンなどのキサンチン製剤を使用してよいか |
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1. 鎮静性抗ヒスタミン薬の使用は熱性痙攣の持続時間を長くする可能性があり推奨されない |
根拠不明確 |
2. テオフィリンなどのキサンチン製剤の使用は熱性痙攣の持続時間を長くする可能性があり推奨されない。特に痙攣の既往を有する場合、3歳以下では推奨されない。また鎮静性抗ヒスタミン薬との併用は状態をより悪化させる可能性があり推奨されない。 |
根拠不明確 |
ガイドラインを受けての考察
・単純型の熱性痙攣を1回起こしただけの患児への予防投与は減る傾向になるであろう。
・予防投与するか否かの判断は医師によっても考えが異なるので、まず医師からどのように使うのか説明があったかどうかを投薬時に確認する必要がある。
・熱性痙攣の好発年齢を考慮して、保護者には「ほとんどの場合は小学校に上がるまでには予防投与は終わると思いますよ」と伝えておくと安心感を得てもらえる。
参考文献 日経DI