2016.8月更新
※熱性けいれんの既往がある子どもへの抗ヒスタミン剤の投与について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
質問 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
熱性けいれんを起こした子供に抗ヒスタミン剤を投与すると、痙攣を誘発するのでしょうか? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
回答 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
薬剤によって差はありますが、慎重に投与すべきです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・第一世代抗ヒスタミン薬は血液脳関門を通過しやすく第二世代はしにくいと言われています。 ・抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率を測定した研究が行われていて、第二世代抗ヒスタミン薬の中でも、その占拠率に差があることが明らかとなっています。なお、抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率は、その薬剤のヒト脳内移行性を示し、鎮静作用の強さに比例します。(2)(4) ・抗ヒスタミン薬について、脳内H1受容体占拠率が50%以上をsedative(鎮静性)、50~20%をless-sedative(軽度鎮静性)、20%以下をnon-sedative(非鎮静性)と3群に分けることが提唱されています。(4)(5) ・図1を参考にすると、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、オキサトミド、d-クロルフェニラミンは50%を超えており、投与に際して慎重さが求められます。 ・熱性痙攣の既往がある患児のお薬手帳の表紙に「熱性痙攣の既往あり、抗ヒスタミン剤の投与に注意」等のシールを貼ると医療従事者同士で理解が広がる可能性あります。 |
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図1 |
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■抗ヒスタミン薬の鎮静作用による分類と添付文書記載内容4),5),7)
【参考資料】 1) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル「痙攣・てんかん」,平成21 年5月25 日 2) 谷内一彦:抗ヒスタミン薬に関する最近の話題,鼻アレルギーフロンティア,10(1), 2010, 56-61 3) 田辺卓也:副作用が問題になっている薬剤の使用と家族への対応,小児科診療,71(5), 2008, 783-787 4) 谷内一彦,長沼史登:第二世代抗ヒスタミン薬の薬理学的特徴,日本医事新報,No.4547, 2011, 57-59 5) 古江増隆,佐伯秀久,古川福実ほか:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン,日皮会誌,119, 2009, 1515-1534 6) 新島新一:小児の痙攣と抗ヒスタミン薬の使用法,脳と発達,41(suppl),2009,134 7)各製品添付文書 |